こんにちは。国際交流・多言語教育センターです!
森村学園の「多文化月間」は、楽しみながら多言語多文化探究学習のきっかけとなるように、それぞれの月に記念日や祝祭日を抱える地域を割り当て、校内を盛り上げているものです。今年度も一年かけて世界を一巡りしてきましたが、3月は「NIS諸国月間」です。
少し聞き慣れないかもしれませんが、「NIS諸国」はNew Independent States(新しく独立した国々)という意味で、旧ソ連が解体されたあとに独立を果たした、元々ソビエト連邦を構成していた国々の総称です。地理的には東ヨーロッパから黒海、カフカス(コーカサス)地方、カスピ海を経て中央アジアにまで及ぶ、高大な地域です。ちなみに旧ソ連と言っても、バルト三国は元々ソ連を構成していた国ではないのでNIS諸国には含まれておらず、本校でも12月の北欧月間に登場しています。
今月のガレリアの国旗は、過去最高レベルの超絶難問ぞろい。これに全問正解できる人は、おそらくいないのでは…。それはこの地域がマイナーなのではなく、この地域に対する私たちの理解の浅さのせいかもしれません。どんなこともまず知ることから。さぁ、国際交流・多言語教育センターからの挑戦状! 今月の国旗クイズ、あなたは答えられますか? わずかながらヒントですが、この旗の並び、西から東に、ほぼ地図の通りに並べられていますよ。
そもそも今月が「NIS諸国月間」になったのは、3月28日が「シルクロードの日」ということによります。遠い昔、ヨーロッパとアジアを結ぶ国際的な交易路として知られたのがシルクロード。その途中、中近東を通り抜けた先、「西域」と呼ばれたのが現在の中央アジアで、NIS諸国の一部が含まれる地域です。天山南路、天山北路、アルマトゥイ、タシケント、サマルカンドなど、シルクルードのロマンが詰まった地域でもあります。
この広大なNIS諸国ですが、その西のはずれでは、現在残念なことに大規模な戦争が続いています。開戦から1年が過ぎ、我々もウクライナの状況を目や耳にすることが少なくなってきました。世界では次々に様々なことが起こりますが、現在起きていることはまだ歴史的な意味合いが定まっておらず、立場や見方によって受け取り方の変わる、難しい問題です。こうした「答えの出ない問い」に対し、それでも知性をもってあたろうとすることが、変化の速い現代に求められる力なのでしょうし、そうした物事に対するしっかりとした想像力が、次の時代に愚かな戦争を引き継がないための、唯一の防波堤なのかもしれません。
この問題に関連して、本校の生徒も参加している「高校生と大学生のための東京大学金曜特別講座」(オンライン公開講座)で行われた、東大先端研・小泉悠先生の講座「不思議の国ロシアを考える」がYouTubeで公開されています。2時間越えの動画ですが、専門の研究者の解説は、この問題を考える上で大きなヒントになるはずです。
小泉悠「不思議の国ロシアを考える」ー高校生と大学生のための金曜特別講座 – YouTube
3月はすぐに学年末考査が始まってしまったため、多文化ごはんはお休みです。そして今年度の多文化月間も、無事に知的で刺激的な世界一周を果たしました。途中のW杯月間も大いに盛り上がりましたし、たくさんの多文化ごはんもおいしくいただきました。来年度もさらに面白企画をたくさん考えています。どうぞお楽しみに!