3月21日、高等部1・2年生を対象に「加速キッチン」合同会社の田中香津生先生(早稲田大学理工学術院総合研究所准教授)と3名の学生スタッフを講師としてお迎えし、素粒子検出器を用いたワークショップを実施しました。
まず素粒子検出器の仕組みを理解するために、実際に検出器を分解し、内部構造を確認しました。各パーツの役割を一つひとつ確かめながら、放射線検出の原理について学びました。
その後、検出器を再び組み立て、実際に宇宙から降り注ぐ素粒子(宇宙線)を測定しました。装置が正常に作動し、目に見えない素粒子が確かに検出される瞬間に、生徒たちは驚きと感動の声を上げていました。
次に、放射線の遮蔽効果、距離による減衰、そして宇宙線の入射角依存性(宇宙線がどの角度から到来するのか)について、班ごとに実験を行いました。銅板などを用いて放射線を遮蔽した場合の変化を測定したり、検出器の角度を変えて宇宙線の到来方向を調べたりしました。それぞれの班が得たデータを比較しながら、「なぜこのような結果になったのか?」を考え、仮説を立てることで、実験結果を深く理解しようとする姿勢が見られました。
最後には、各班が自分たちの結果を発表し、全体で考察を共有して田中先生からフィードバックをいただきました。白熱した議論が交わされ、科学的な思考を働かせる貴重な時間となりました。「これぞ科学!」 という熱気あふれる場となり、生徒たちにとって大きな刺激になりました。
参加生徒のふりかえり(抜粋)
・遠い世界の話だと思っていた素粒子を身近に感じることができました。
・得られたデータを考察する段階が想像よりずっと面白くて驚きました。上手くいかない理由を考えたり、データから何が言えるのかを考えたりする時間が、とても有意義でした。素粒子研究に対する「面白そう」という考えがぐっと高まりました!
・素粒子研究のイメージはもともと素粒子で独立していると思っていたが、医学への転用などいろいろな分野に関わっているのがとても意外でした。
・研究テーマが本当に面白かった。宇宙線と関連付ければ色々なことを選別できたので、視野が広がり興味を持つことができました。
・素粒子物理学へのアンテナを張りながら生活しようと思います。
・探究活動においての仮説の立て方、実験方法を考えることの楽しさなどを学ぶことができました。
・実験をする際にはいろいろな着眼点を持ってたくさんの実験をしないと自分の仮説を証明できないことが分かりました。
今後もこのような機会を通じて、生徒たちが自ら科学の面白さを探究し続けてくれることを願っています。
また、このワークショップには、内閣府原子力委員会の岡田往子先生にもお越しいただきました。岡田先生からは、原子力の安全な利用について貴重なお話を伺うことができ、生徒たちにとって大変有意義な時間となりました。貴重なお話をありがとうございました。